肥大型心筋症・拡張型心筋症

肥大型心筋症

病気の説明

肥大型心筋症は原因不明の心筋疾患の一つで、心臓の壁が厚くなり、内腔が広がりにくく(拡張障害)、心室内へ血液が流れ込むのが制限されます。心肥大が高度で心臓が収縮する時に、血液の通る路が狭くなって駆出されにくくなる場合を閉塞型肥大型心筋症と呼びます。また肥大する部位が心尖部に限局するものは心尖部肥大型心筋症と呼ばれます。半数は遺伝性で家族内発症がみられ、原因として多くは心筋収縮に関連するタンパク質の遺伝子変異が認められます。非閉塞型では無症状で経過する患者さんも多く、検診の心電図異常で発見されることが多いようです。 統計上は人口10万人に10-20人とされていますが、無症状で気づかれずに天寿を全うされることも多いので実際にはもう少し多いと考えられています。

5年生存率は95%程度と良好ですが、時に突然死もみられるので注意深い経過観察が必要です。また一部には内腔が拡張し収縮力が低下し、拡張型心筋症様になる場合もあります。

診断方法

前述のとおり非閉塞型では多くの場合、無症状か症状が軽度なので、検診でみつかるか、突然死でたまたま見つかることもまれではありません。
症状としては労作時の息切れや胸部不快などを認め、閉塞型の患者さんでは運動時の呼吸困難、めまい、失神などがみられることもあります。
心電図では心肥大や陰性T波などの所見がみられます。心臓超音波検査が有効で、非対称性の心筋肥大がみられ、心臓拡張障害の所見がみられます。
確定診断のために心臓カテーテル検査が行われ、心臓内圧の測定や病理組織検査を行います。閉塞型の症例では、心尖部と心基部の間で収縮期の心腔内圧格差を認めます。また我々の施設では、心臓カテーテル検査中にペーシングによる電気刺激や強心剤による心負荷を行い、収縮予備能、拡張予備能を測定することによって、より詳細な心機能の検討を行い予後予測や治療法の選択を行っています。

治療法

前述のとおり予後は良好ですが、突然死の予防が重要です。運動時に起こることが多いので、過激な運動は避けるようにします。中隔の壁厚が30mmを超える場合や閉塞型の場合では特に注意を要します。
無症状の場合は経過観察を行うのみですが、症状や検査で異常が認められる患者さんでは左心室が拡張しやすくする目的でβ受容体遮断薬やカルシウム拮抗剤が使用されます。
ジソピラミドやシベンゾリンなどのⅠ群抗不整脈薬も、抗不整脈効果および陰性変力作用による拡張能改善を目的として使用されます。また心室性不整脈を合併する患者さんでは植え込み型除細動機の適応になる場合もあります。
心筋肥厚が著明で閉塞が強く心腔内の圧格差が強い場合は、肥大している部位の冠動脈にエタノールを注入して人工的に心筋壊死を起こさせたり、心筋の一部を切り取る手術を行ったりします。またDDDペースメーカーが圧格差の軽減に有効な場合もあります。

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拡張型心筋症

病気の説明

拡張型心筋症とは、心室の筋肉の収縮が悪くなり心臓が拡張して、心不全や不整脈を生じる予後不良の疾患です。心筋虚血、高血圧、アルコール性、代謝疾患、全身炎症性疾患、神経、筋疾患などに伴う二次性の心筋症とそれらの原因が明らかでない特発性に分類されます。本項では特発性拡張型心筋症に関しての説明をします。
特発性拡張型心筋症は、人口10万人当たり10人前後、年齢は60歳前後で最も多くみられますが、10歳以下の小児にもまれにみられます。原因は遺伝子異常、ウイルス感染、その他の様々な原因が考えられていますがはっきりはしていません。病理組織所見では心筋の変性、壊死および線維化がみられます。
症状は息切れや動悸などの心不全症状がみられます。初期は労作時のみで症状がみられますが、心機能障害が進行すると安静時や夜間の呼吸苦が出現し、浮腫や不整脈などもみられます。
患者さんによってその進行は一定でなく、比較的安定した状態で経過する場合もありますが、多くは進行性で心不全や不整脈を生じ予後不良です。

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診断方法

心拡大や労作時の息切れや動悸、つかれやすいなどの心不全症状で受診されますが、自覚症状がなく検診の心電図異常や心拡大で指摘される場合もあります。
心電図検査ではST-T異常や、左室肥大、心室内伝導障害など、胸部レントゲン写真では心拡大、肺うっ血がみられます。心臓超音波検査が最も重要で、左心室の拡大とびまん性壁運動低下がみられ、左心室拡大が進むと僧帽弁逆流が伴うこともあります。
診断の確定は、心臓カテーテル検査、心筋組織検査その他で二次性心筋症を除外することが重要になります。さらに我々の施設では、心臓カテーテル検査の際に、心房の電気刺激や強心剤による心負荷を加えることによって、心筋の収縮予備能および拡張予備能を測定しより詳細な心機能解析を行い、予後評価、重症度判定を行っています。
心室性不整脈などの重篤な不整脈を合併する患者さんも多いので24時間のHolter心電図による評価が必要です。また123I-MIBGなどの心臓核医学検査や運動耐用能評価が予後不良患者の予測、治療方法の有効性の予測に有用であると考えられています。睡眠時無呼吸の合併も多く、睡眠時の呼吸モニタリング検査も行われます。

治療法

心不全に対する治療が中心になります。運動、水分および塩分制限が必要です。薬物療法としては、心不全におけるレニンアンジオテンシン系の過剰な亢進を是正する目的でACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬が用いられます。同様に抗アルドステロン薬のスピロノラクトンも有効です。またβ遮断薬が有効であることがわかり、少量から漸増療法がおこなわれます。水分貯留に対してフロセミドなどの利尿剤が用いられます。心拡大が重度な場合や心房細動が合併する時は血栓予防のため抗凝固薬も用いられます。
心房細動や心室不整脈など重篤な不整脈の合併例ではアンカロンなどの抗不整脈薬の投与や植え込み型除細動機の適応となる場合もあります。心室内伝導障害を伴い心室同期不全を有する例では多点ペーシングによる心臓再同期療法が有効なこともあります。また前述のとおり睡眠時無呼吸を合併する場合も多いので、BiPAPやAutoset CSといった陽圧呼吸装置の装着が有効な場合があります。心拡大に伴う僧帽弁閉鎖不全を合併する場合、僧帽弁形成や置換術などの適応になります。これらの治療が無効な難治性心不全例では補助循環(LVAS)や心臓移植の適応となります。

 

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