心内膜・心筋・心外膜疾患

心内膜疾患

感染性心内膜炎

心臓の内側の膜(心内膜)や弁膜に疣贅(ゆうぜい)といわれる菌塊ができ、菌血症になる病気です。
早期に適切な治療をしないと(1)感染が重症化する、(2)全身の血管へ菌塊がとび閉塞する(塞栓)、(3)心臓・弁膜構造が破壊されどろどろの心不全になる、などのため時に致死的となります。

長引く原因不明熱がある場合、この病気を考える必要があります。
弁膜症、先天性心疾患などの異常ジェット血流を伴う心臓病のためにできたに心内膜の傷に、外部から菌が侵入して住み着くと病気が成立します。菌は抜歯などの歯科処置、泌尿器科・婦人科的処置、血管内カテーテル検査などで侵入します。
心臓超音波検査(時に胃カメラのような方法でアプローチが必要)と血液培養により診断します。診断がついたら入院して塞栓などの合併症の評価をした上、原因菌を特定して効果のある抗生剤を極量で約4週間程度毎日点滴で使う必要があります。
十分な抗生剤治療を行っても感染、塞栓、心不全がコントロールできないときは手術も必要になります。

心臓粘膜腫

心臓の腫瘍は他臓器からの転移性のものが圧倒的に多いのですが、心臓から発生する腫瘍では粘液腫が3割程度で最多です。粘液腫は良性腫瘍であり、4分の3は左心房内に発生します。
主な症状は、(1)体重減少、貧血、発熱、疲れやすいなどの全身症状、(2)労作時の呼吸困難感やめまい、心雑音などの心臓弁膜症に似た症状、(3)腫瘍片がちぎれてとんで血管を閉塞する(塞栓)ことによる多彩な神経症状、です。
心臓超音波検査にて腫瘍の様子を観察することで診断されます。良性腫瘍ではありますが、大きくなると血行動態的に厄介ですので治療は原則としてできるだけすみやかに腫瘍の付着部位(多くは心房中隔)を含めて手術的に切除します。

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心筋疾患

急性心筋炎

心筋が壊死を起こし胸痛や急速に進行する心不全、ショックや意識消失などの多彩な症状がでます。心筋梗塞が原因のものは除きます。
原因はウイルス感染が多いと言われていますが、中毒・放射線・自己免疫疾患なども原因となります。原因が特定できない場合も多々あります。生来健康な人に感冒症状や消化器症状、関節痛など比較的軽症の感染徴候が出て、たいしたことないと様子を見ていると10日間程度して胸痛や呼吸困難、失神などの急性心筋梗塞に似た症状で救急車にて運ばれてくるというのが典型的な例です。
冠動脈造影を施行して心筋梗塞でないことを確認して、同時に心筋生検を行い心筋組織に炎症細胞が浸潤していることで診断されます。対症療法的に心不全の治療など行います。
時に重症化して循環動態が悪くなる劇症型がありますが、それでも人工呼吸器や大動脈内バルーンパンピングや経皮的心肺補助法などで何とか循環動態を支えていると、そのうち回復してくる症例もよく見ます。半数は後遺症を残さず完全に治り、約4割に何らかの心異常が後遺症として残ります。

心筋症と特定心筋症

何らかの原因で心筋細胞が変性し心機能障害に至ったもののうち、その原因がはっきりしないものを「心筋症」と呼び、心筋梗塞や弁膜症や心筋炎など、低心機能となった元の原因がはっきりしているものを「特定心筋症」と呼びます。
原因のはっきりしない「心筋症」には心臓が著しく拡大して壁が薄くなり収縮しなくなる拡張型心筋症や、逆に壁が分厚くなることで循環が障害される肥大型心筋症などが含まれます。拡張型心筋症や肥大型心筋症は心筋梗塞や弁膜症由来のものほど多くは遭遇しません。
低心機能をみた際には心臓カテーテル検査や心筋生検など行い、なんとかその原因を調べるわけですが、どんな原因の心不全であれ、低心機能となった場合の治療は、慢性進行性の心不全症状に対する標準的な薬物・非薬物治療を進めていき、致死的不整脈や心房細動・脳血栓などの合併症への対策行うことが中心となります。
特に若年の著しい低心機能の方では、条件が合えば将来の心臓移植も検討されます。

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心外膜疾患

急性心膜炎

心臓をつつむ膜(心膜)を中心に炎症が起こり、(1)胸痛、(2)心膜摩擦音と呼ばれる心雑音、(3)特徴的な連続性の心電図変化、(4)心エコーで心膜液貯留、の見られる病気です。
原因はウイルス感染、膠原病、腫瘍、心筋梗塞、外傷、大動脈解離などいろいろあります。
心膜液が貯留することが多いですが、心タンポナーデになってショックなど血行動態が破綻していれば別ですが、心筋拡張障害がおこっていない程度の心膜炎・心膜液貯留なら、痛みや発熱に対して鎮痛剤など投与して安静にしていると回復することが多いようです。

心タンポナーデ

心膜液の貯留が急速すぎて、たまった液体に邪魔されて心臓が拡張できず、ショックなど血行動態が破綻するものを心タンポナーデと呼びます。
急性心膜炎、カテーテル治療中の合併症、心筋梗塞の穿孔、上行大動脈解離などが原因となります。
心臓超音波で確認すると心膜液貯留と右心室、右心房の壁が拡張期にへこむように見える所見で診断されます。放置すると致死的になりますので心臓超音波で確認次第ただちに心膜腔にドレナージ針を刺して邪魔な液体を排出します。ドレナージがうまくいくと急速に血行動態が回復することもよく見られます。

慢性収縮性心膜炎

急性心膜炎の治癒後に心膜が硬くなってしまうことがあり、そうなると心臓が十分拡張できなくなることから右心不全様症状(頚静脈怒張、腹水、胸水、肝腫大、うっ血性肝硬変、下半身優位の浮腫、蛋白漏出性胃腸症など)が出てきます。
頻度が多くないのでこの病気がなかなか思いつかないため、診断がうまくつかないと治療抵抗性の風変わりな心不全・肝不全として漫然と経過観察されていたりします。
心臓カテーテル検査にて特徴的な右心室・左心室の圧力パターンを得られると診断できます。薬物療法はほとんど効果がなく、手術的に硬くなった心膜を切開したり剥離して治療します。手術により劇的に血行動態が改善することがあります。

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